ダイヤモンドオンラインに連載記事が掲載されました♪だまされない脳をつくる!「行動経済学」入門

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ダイヤモンドオンラインに連載記事が掲載されました

マクドナルド「1100通りメニュー」が失敗で、デアゴスティーニ格安創刊号が成功する理由 | だまされない脳をつくる!「行動経済学」入門 | ダイヤモンド・オンライン https://diamond.jp/articles/-/307175
上記の記事は会員限定ですので元の原稿を特別に公開します
なお実際に記事として掲載された内容とは異なります
行動経済学について詳しくは拙著 マンガ行動経済学1年生 をご覧ください!

元原稿 行動経済学でひも解くマクドナルド、サブウェイの失敗とディアゴスティーニの成功

 

<記事本文>

 

■ノーベル賞を受賞した行動経済学とは

 

皆さんもダイエット中なのにラーメンを食べてしまう、セール品だと不要なものまで買ってしまう、時間がないのに行列店に並びたくなる、貯金しなくてはいけないけど趣味にお金を使ってしまうなど“非合理的”な行動をしてしまった経験があるのではないでしょうか?

 

伝統的な経済学では、「人間は常に合理的に、自分の利益に向かって行動するもの」といった考え方で構築されています。ムダな行いはせず、感情の揺れ動きもなく、迷いも悩みもないといった「ホモ・エコノミカス(合理的な経済人)」を想定しています。

 

一方、心理学では、利益がないのについやってしまう気持ちや、他人に左右されてしまう行動、喜びや悲しみ、悩みや迷いなどを理論的に検証します。伝統的な経済学に心理学をプラスして生まれたのが行動経済学です。

 

心理学者のダニエル・カーネマンが2002年にノーベル経済学賞を受賞したことで一躍注目されました。その後も行動経済学を論じる学者たちが次々とノーベル経済学賞を受賞しました。2013年に受賞したのは、アメリカの経済学者のロバート・シラーでした。株式を中心とした金融市場は、理論だけで未来を想定してもその通りにはならないことを解明したのです。また、2017年には、アメリカの行動経済学者のリチャード・セイラーがノーベル経済学賞を受賞しました。

 

カーネマンと故エイモス・トベルスキーは、「プロスペクト理論・リスクがある環境下での意思決定の分析」という論文において、合理的に行動することができない人の心を、心理学を用いて分析しました。

 

行動経済学のプロスペクト理論では、世の中は常に不確実なものであり、人はどのように未来を予測し、どのように行動するのかを論じたものです。これによって伝統的な経済学ではアノマリー(例外)とされてきた事象について説明ができるようになりました。

 

行動経済学を知ることにより、今よりビジネスがうまくいくコツがわかり、人間の“非合理的”な行動も、うまく活用すればプラスにつながる可能性があります。

 

 

 

■マーケティングと行動経済学の密接な関係

 

個人の消費動向、社会情勢、流行などを分析するマーケティングは、行動経済学と同義語ともいわれます。うれしい気分のときに何を食べたくなるか、また、悲しかったり落ち込んだりしたときにどこに行きたくなるかなど、人の気持ちとお金の流れは切っても切れない関係です。季節によって売れる商品が変わったり、快晴か悪天候かによって購買意欲に変化が生じたりします。こうした心の動きは、まさにマーケティングの研究対象なのです。

 

今回は「マンガ行動経済学1年生」(宝島社)から具体的なビジネスでの適用事例をご紹介しながら行動経済学についてわかりやすくご説明したいと思います。

 

 

 

■なぜ子供に早く帰ってきなさいと言ってはいけないのか

 

ノーベル賞を受賞したリチャード・セイラーは「ナッジ理論」を生み出しました。ナッジとは、隣の人を肘で小突いて気づかせるといった意味があります。強制するのではなく、さりげなく意識させるように誘導し、いい方向へ行動を促すということです。

 

強制することなく行動を変えられるのは、人の行動のくせを上手に利用するためです。人の意思決定は自由であるようでいて、実は無意識のくせにとらわれています。そのくせに働きかけ、よりよい行動を自然に選べるよう手助けするのです。

 

ナッジ理論の誘導は、「自分で選んだ」という満足感をもたらすため、気分よく行動できるのです。ナッジ理論を応用する考え方は、ビジネスや社会のなかにも息づいています。

 

たとえば、子どもの頃に、親から「早く帰ってきなさい!」と強くいわれればいわれるほど帰りたくなくなるのに、「おいしい晩ごはん作って待っているよ」といわれると早く帰りたくなった、という経験はありませんか? これが「ナッジ」です。

 

最近では、デパートなどのトイレの壁に「いつもきれいに使っていただき、ありがとうございます」という張り紙がしてあります。これは、「汚すな!」といった強制的な言葉を突き付けるより、きれいに使わなくてはいけないという気持ちを呼び起こす、ナッジ理論の活用といわれています。このように、ナッジ理論は、すでに私たちの日常生活に広く取り入れられているのです。

 

■おとり効果でお得感をアップ 比較するものを提示して心をつかむマーケティング

 

高級家具を販売していたころの大塚家具はビルの上層階から販売員の方がお客様に付き添って家具売り場を案内する方式で業績を伸ばしていました。上層階には数百万円する高級家具が展示されていましたが下の階にいくと同じような家具が数十万円で展示されていました。はじめから数十万円の家具を見たら高いと思うものですが数百万円の家具を見た後だと安く感じるのです。

 

これは行動経済学者のダン・アリエリーが実証した「おとり効果」です。引き立て役と比較することで、商品をより魅力的に見せる効果です。

 

 

■サンクコストで成功しているディアゴスティーニ

 

行動経済学では、すでに支払っていて回収できない費用を「サンクコスト(埋没費用)」と呼びます。投じた費用を諦めきれずに撤退できない、いずれ利益が出ると夢を見てやめるタイミングを逃してしまうことです。ギャンプルも、元手となったお金を取り戻そうとして賭け続け、やめられなくなってしまう心の動きを「サンクコスト効果」といいます。

 

この心の動きをうまく活用したのが、高額な商品を分割して販売する分冊百科です。

 

分冊百科とは、たとえば「世界の旅客機」など、ひとつのテーマについての内容と模型のパーツなどを少しずつ刊行し、最終号まで合わせると完成するという形式の出版物でディアゴスティーニなどが有名です。

 

ポイントは、創刊号が安めの価格になっており、買い始めやすいこと。2号以降は値段が上がりますが、創刊号を買ったため「サンクコスト効果」が働き、「買わないと、これまでのお金や組み立てた苦労が水の泡だ」と感じます。こうして、買い始めた人は付録が完成する最終号までつい買い続けてしまうことになるのです。

一度買ったら全部買わないと損した気がする仕組みといえるかもしれません。

 

マンガなども3巻まで読んだ人は最後まで買いたくなるといわれています。そのため無料でマンガが読めるサービスは3巻まで無料にしている場合が多いのです。

■マクドナルド、サブウェイの失敗は「選択のパラドックス」

 

誰でも自分が好きなものを選びたい反面、選択肢が多すぎると迷って決められない。

これが「選択のパラドックス」です。しかも、選択肢が多いほど、決定に対する満足度も落ちることがわかっています。無意識のうちに「本当はほかのもののほうがよかったのでは」ないかと後悔してしまうからです。です。また選択肢が多すぎると、選択をあとにしたり、選択することをあきらめてしまう「決定麻痺」が起きます。

 

2015年に日本マクドナルドが行った、1000種類以上の組み合わせから選べるセットのキャンペーンが失敗したのは「選択のパラドックス」と、「決定麻痺」が原因だといわれます。

 

日本マクドナルドは、2015年5月25日から「新バリューセット」として、レギュラーメニューでこれまでマックフライポテトのMサイズだけだったバリューセットのサイドメニューを拡充するほか、飲み物のチョイスも増やしメイン11種類、サイド5種類、ドリンク20種類から選択可能として、計1100通の組み合わせが可能になるキャンペーンをしました。同社のHPによれば「もっとサイドメニューやドリンクの選択肢を増やしてほしい」という要望に応える形で新セットを開発したとしています。しかし残念ながら結果はうまくいかなかったようです。

 

要因は色々考えられますが、ファーストフードであるハンバーガーなどの軽食は忙しいときに手軽に食べられることで人気になっていると思います。そうした中で多くの人が後ろに並んでいる中で1100種類から選ぶことはお客さんにとっては寧ろ苦痛になってしまったのではないかと考えられます。

 

同様に世界最大の飲食チェーンといわれているサンドイッチチェーンのサブウェイは、日本では店舗数が4年間で46%減も減っています。2018年4月には全国で300店舗以上あったものの2022年4月時点では168店舗にまで減少してしまっています。(出典:日本ソフト販売HP) 同社はフランチャイズ料金が安いこともあり急速に店舗数を拡大してきましたが本国アメリカでも新型コロナの影響で苦戦が伝えられています。

 

実は筆者も好きでよく食べていたのですが、サブウェイのサンドイッチはコンビニのサンドイッチと比較すると2~3倍の価格と高いものの、サンドイッチの種類も多く、店頭ではパンの種類とサイズ、さらにトッピング、野菜、ドレッシングの種類を選ぶことができます。

しかしランチタイムに行くと多くの人が並んでいて後ろの人が気になってしまい結局決まったセットを買ってしまうことが多くありました。日本ではサンドイッチはコンビニでも手頃な価格で売っていることや家でも簡単に作れることなどの理由もあると思いますが、やはり「選択のパラドックス」と、「決定麻痺」が働いているのではないかと思います。

 

アップル社の創業者、故スティーブ・ジョブズ氏が常に同じ服装をしていたのも、日々、服装に対する選択をしなくて済ませるためでした。

選択肢も選択の機会もほどほどがいいということになります。

 

このように行動経済学を学ぶことで人の心理を読んだビジネスの展開のヒントが得られるのではないでしょうか。

(文=平野敦士カール/株式会社ネットストラテジー代表取締役社長)

詳しくは拙著 マンガ行動経済学1年生 をご覧ください!

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