5分でわかる【2019年資金調達10】企業価値を高める借金!

資金調達つまり借金した方が企業価値が高まるというのは本当です 日本一の大富豪となった孫正義氏率いるソフトバンクグループの借金は10兆円を超えていることは有名です。企業が成長するためには資金調達が必要だからです。資金調達の方法について元興銀マンの小生がわかりやすくご説明したいと思います。なお英語ではfundraisingということが多いです。ここでは大きく分けると10の方法をご紹介します 

様々な資金調達方法がありますがTwitterなどを見ていると少し危険だなぁと思うものもあるので注意が必要でしょう。ヘタなところから借金をしてしまうことは破滅に繋がるからです。起業家には特別な制度もありますし最近はクラウドファンディングなどのフィンテックによる新しい資金調達方法も登場しています。

負債での資金調達をデットファイナンス(debt finance)、株式での調達をエクイティファイナンス(equity finance)と言います。また株式で調達したものはリスクマネーとも呼びます。負債での資金調達にも社債を発行するものと金融機関等からの借入を行うものがあります。

さらに企業の調達方法にはこの2つの中間的な存在として、負債と資本の性格を併せ持つ「メザニンファイナンス(ハイブリッド証券等)」や、企業の資産を裏づけとして資金を調達する「アセットファイナンス(資産の証券化)」などもあります。証券化とは、不動産や債権のような、お金にしづらい財産を有価証券の形に変え、その証券を売却することで、資金を調達する方法のことです。

近年日本でも急速に認知されはじめたのが売掛金などを他者に売却することですぐに現金化することができるファクタリングです。
例えば100万円の売上が上がったが売掛で販売したので実際に入金があるのは2カ月先(この期間のことをサイトと呼びます)だとしたらその間の資金調達ができなくなります。このためその100万円の売掛債権をたとえば70万円で買い取ってもらうことですぐに現金を手にする方法がファクタリングです。

資金調達方法

企業や起業の際に資金を調達する方法にはいくつかあります。株式による資金調達を負債による資金調達、さらには資産などの流動化による資金調達、補助金や助成金などもあります。

しかしそもそも資金調達を融資、つまり借金で行うのは良いことなのでしょうか?昔から日本では無借金会社が素晴らしいと思っている経営者が多いのではないかと思います。
従来から日本では無借金会社が高い評価を得ていたり、長い間銀行からの融資などの間接金融が中心だったこともあり、「なるべく借金つまり有利子負債は減らす方が良い会社だ」と思われてきました。今でも根強く信仰されているかもしれません。

しかし金融の理論上は無借金よりも借金がある方が企業価値が高まるとされています。

企業は株主からの出資などによる株式資本、金融機関等からの借入による負債から調達したマネーを事業に投下することでリターンを得て株主や貸し手に配当や金利というリターンを返すことで事業を拡大していくわけです。逆にいえば株主や銀行等は他よりもリターンを期待しているからこそ資金を投下するとわけです。株の場合にはキャピタルゲイン(株式売却益)も期待されています。

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企業価値を高めるためには借金が必要?!MM理論

1958年にアメリカのフランコ・モディリアーニとマートン・ミラーが提唱した、MM理論では、税金のない完全な市場の下で企業が資金調達を行うときには、資金調達方法の組み合わせ方(つまり負債(デット)と株主資本(エクイティー)の比率)を変えても企業価値は変化しないという定理を発表しました。

しかし実際には一般的に負債より株式資本による資金調達の方がコストが高くなります

なぜなら株主はもし倒産した場合には債権者が回収した残余財産しか得ることができないからです
当然債権者より高い利回り(期待収益率)を要求します。
また負債の金利には節税効果もあるのでキャッシュフローが税引き後ベースでは増えます。

よって負債比率が上がると、資本コストが下がり、節税効果が生まれるために企業価値は高まるのです。

しかしあまり負債比率が高まると今度は倒産リスク(財務リスク)が増えるということになり負債の調達コストも増えてしまいます

事業が安定している企業であればある程度負債で調達する比率を高める一方で、景気に左右されやすい企業であれば負債比率は抑えるといった負債と株式のバランスを考えることが重要なのです。

優れた経営者は無借金会社が素晴らしいと言う思考は捨てて、寧ろ金利が低い状況ではある程度柔軟に負債での調達も検討するべきだということでしょう。

ペッキング・オーダー理論

ペッキング・オーダー理論では、調達手段にコストの差がある場合は、企業は調達手段をミックスして選択するより、コストの低いものから順番に選択するべきとするものです。この場合は、一般的には内部留保、負債、株主資本の順に資金調達するべきだということになります。つまり増資よりも借入をしろということでしょう。増資は希薄化の問題もあります。
最近は日本企業も大型のM&Aを行うために巨額の負債を負うことで企業価値を高めるようになってきました。

まず大きく分けると返済しなくても良い資金調達と返済が必要な資金調達に分けられます。

返済をしなくても良い資金調達方法

株式発行または譲渡による資金調達:外部からの出資を受けることで資金調達を行う方法です。返済の必要はありませんが配当を支払うことや値上がりすることを期待されています。また出資比率が高くなると経営に対する株主の関与が強まります

一般には33.4%以上(3分の1)で重要事項への拒否権が生じたり、40%以上かつ経営者の派遣によって出資者の子会社と見なされることになります。50%超取られると実質的には経営権を失います。このため出資を受け入れる際には企業価値を正しく算定して増資または譲渡する際の株価を適正にしておくことが何よりも大切でしょう。

企業価値算定、株価算定(バリュエーションと言います)の方法については以下の用語集にまとめましたので必ずチェックしておいてください!

会社のねだんの決め方~企業価値算定3つの方法 Valuationhttps://www.carlbusinessschool.com/knowledge-base/valuation/

ベンチャーキャピタル他からの出資

ベンチャー企業の場合にはベンチャーキャピタルからの出資やエンジェル投資家からの出資、企業がアライアンスを目的として設立しているコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)などからの出資も可能でしょう。
私もドコモにいた際にドコモドットコムやMICの設立を実際に担当しました。

注意すべきはベンチャーキャピタルの場合には第三者からの資金をファンドとして受け入れていて出資しているために8年~10年でExit
エクジット すなわち売却する必要がある点です。要は金儲けです。必要な助言を受けられるメリットは大きいですが最終的には上場、店頭公開(IPO)を期待してキャピタルゲインを狙っているわけです。

このため大手のベンチャーキャピタルでも一定の期間以内に上場しない場合には取得した株価の2倍で買い戻せというとんでもない契約を要求するところもあります。これじゃ高利貸と同じですね、、、

最近はカネ余りでベンチャーキャピタル同士の競争も激しく、やはり大企業とのアライアンスができるCVCの方がオススメです!

補助金や助成金による資金調達

国や自治体によるもので原則返す義務はありませんが、審査があり基本的には後払いとなるためすぐに資金が必要な場合には他の手段で資金調達をしておくことが必要です。つまり事前に申請をしてその後に事業をはじめて計画通り行ったと確認できた場合にはじめて資金が受給できるわけです。
なお助成金は要件を満たせば受給できますが、補助金の場合は、事業計画や資金使途などを明確化する必要があります。
なお助成金は厚労省、補助金は、経産省や自治体などが多いです。不正受給問題などもあるため審査も厳格化しており半年以上受給までに時間がかかることも多いといわれています。詳しくは厚労省や中小企業庁のHP東京都のHPに載っています。

厚生労働省のHP 事業主への支援、助成金等一覧 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/subsidize.html
中小企業庁 補助金等公募案内
http://www.chusho.meti.go.jp/koukai/koubo/index.html
東京都中小企業振興公社
http://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/

ファクタリング

冒頭にご紹介した通り、企業の資産を裏づけとして資金を調達する「アセットファイナンス(資産の証券化)」などもあります。手形の割引も広い意味では資金調達です。証券化とは、不動産や債権のような、お金にしづらい財産を有価証券の形に変え、その証券を売却することで、資金を調達する方法のことです。特に中小企業にとって注目されているのは近年日本でも急速に認知されはじめた「売掛金などを他者に売却することですぐに現金化することができる」ファクタリングです。

例えば100万円の売上が上がったが売掛で販売したので実際に入金があるのは2カ月先(この期間のことをサイトと呼びます)だとしたらその間の資金調達ができなくなります。このためその100万円の売掛債権をたとえば70万円で買い取ってもらうことですぐに現金を手にする方法がファクタリングです。詳しくはこちらをご覧ください!

資金調達情報サイト【資金調達プロ】

返済が必要な資金調達

返済が必要な資金調達には銀行借入や公庫からの借入などがあります。

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫は、主に中小企業や個人事業主に対して低金利で長期資金の貸出などの支援を行っている財務省所管の特殊会社です。普通貸付 セーフティネット貸付 金融環境変化対応資金 取引企業倒産対応資金 新企業育成貸付 女性、若者/シニア起業家支援資金 再挑戦支援資金 新事業活動促進資金 中小企業経営力強化資金など様々なものがありますので一度ぜひHPをチェックしてみることをおススメします。審査はありますし一定の期間を要しますが最大7200万円までの融資が受けられるのでまずはこの制度を検討してみることでしょう。
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/

銀行融資(プロパーローン&信用保証協会 )

低利で借り入れをしたい場合には次は銀行融資でしょう。事業計画の策定など審査はありますが最も一般的です。

銀行融資にはプロパー融資という銀行自身が審査を行う融資と信用保証協会の保証付き融資の2つがあります。
信用保証協会は、中小企業を支援するために保証を行っている協会のことで信用保証協会が保証人となることでプロパー融資に比べると銀行は融資をしやすいといえるでしょう。ただし注意が必要なのは返済不能になった場合に信用保証協会に対して返済義務を負うことになるので返済不要というわけでは全くありません。一般的に0.5%~2%程度の保証料が上乗せされます。
いずれも銀行が窓口になります。

ビジネスローン

よくポストにはがきやチラシが入っているのですが(笑)経営者や個人事業者向けに提供されている商品にビジネスローンがあります。
貸し手は消費者金融や信販会社などで融資金額については100万円~1,000万円と様々な商品があります。

即日融資や担保や第三者保証人を必要としない、総量規制にかからないなどのメリットがあるものもあり様々ですが金利が8%~18%と高く資金繰りが厳しい企業にとってはありがたい存在ですが利用には注意が必要です。くれぐれもよく検討してから利用されるべきでしょう。

なお、総量規制とは年収の3分の1までの金額合計までしか融資を受けられない、という規制です。

カードローン

カードローンとは、銀行や貸金業者などが提供する無担保型・資金使途が自由な個人向けの金融商品です。コンビニのATMなどでカードを使用することで、借入・返済をすることができるので銀行系がCMなどでもかなり宣伝していますね。ただし貸金業者のカードローンは総量規制の対象ですから合計で年収の3分の1までしか融資は受けられません。パートの方やアルバイトなどの個人でも利用可能ですが返済能力についての審査があります。また金利も若干高めです。ご利用は計画的に!

自分はいくら借りられる?か調べるには融資枠を一括提示するサイトが便利でしょう
キャッシング比較サイト「くらべる君」

プロジェクトファイナンス

最後に小生が7年以上興銀マンとして担当していたプロジェクト・ファイナンスについてご説明しましょう。

プロジェクトファイナンスとは、大型のインフラ(橋や病院など)など何らかのプロジェクトで資金調達が必要になったときに、そのプロジェクトをおこなうためのSPC(特別目的会社)をつくり、SPCがお金を借りるという方法です。

プロジェクト・ファイナンスのメリットは、借入金の返済を、そのプロジェクトが生み出すお金だけでおこなえることです。つまり、プロジェクトに参加する一企業が返済責任を負うことはありません(=ノンリコース・ファイナンス)。

また、プロジェクトが有望かどうかで融資を判断されるので、プロジェクトに関わる企業の財務内容や信用力がなくても、多額の資金を借りられる可能性があります。

さらに、プロジェクトの借入金は、参加企業の貸借対照表に記載されないので、財務内容が悪化するのを防げます。いわゆるオフバランスというものです。

 プロジェクト・ファイナンスは、発電所や刑務所や病院などの公共施設など、複数の企業や政府などを巻き込んだ大規模プロジェクトで使われます。

PFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)」のプロジェクトでも、よく活用されています。

これは、民間の資金やノウハウを使って、公共施設の建設や運営をおこなう手法のこと。もともと、イギリスで盛んにおこなわれている手法で、近年、日本でも、この手法によって、全国の小中学校や体育施設、下水処理場などが建てられ、国や地方公共団体のコストの削減につながっています

しかし水道民営化など民間企業の運営によって水道代が5倍になるなど大きな社会的な問題を生み出しています

プロジェクト・ファイナンスの融資は多額になることから、貸す側の金融機関も高いリスクがあります。そこで、多くの場合は、複数の金融機関が協調して融資をおこなう「シンジケートローン」の形でおこない、リスクを減らしています。

実際小生も担当したパイプラインや発電所建設のプロジェクトファイナンスでは10億ドル以上の資金を世界中の銀行から集めてきてシンジケートローンを組成するリードアレンジャーという役割を行いました。更に資金管理を行うエージェント業務AGENTも担当しておりました。

ゴールドマンサックスNY本社と一緒にファイナンシャルアドバイザーFAをしたり、様々な国で大きなプロジェクトを担当したことはワクワクするような経験でしたが実際は地道に山のような英文契約書を徹夜で読み込んでいた日々でもありました(笑)
良い想い出です。

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